松本薫さんのTATARAが10月末に発行された。伯耆国たたら顕彰会の友人が先月の初め持参してくれた。すずらんに良く似た不思議な花のイラストが表紙となっている。魅入られるように一気に読んでしまった。それから1ヵ月以上も経つが、いまだにその時の感動が忘れられない。現在の日野町根雨周辺が舞台となっており、鉄師近藤家がモデルとされている。明治という新たな国家体制のもとで激動の時代を生き抜いてきた一人の女性が主人公であった。鉄生産という地域経済に多大な影響を与えた産業は、之に携わった人々の弛まぬ血の滲む苦労の上に存在する。ルジラ(血)の繋がりは人間は一人では生きていけないことを強く示唆している。父母、兄弟、親戚など、所謂家族というものは、先祖から面々と受け継がれてきた歴史を背負い、そしてジ次世代へと繋げていく。私はこのTATARAを読んで強く父母の無償の愛を感じざるを得なかった。わが子の為にどんな苦労も厭わない父母の姿に、また主人公の姿に深く涙した。心の奥底に染み入るような感慨を覚えた。元始女性は太陽であった・・平塚らいてふ・・・・生田長江(弘治)・・・日野川が流れるあの谷が小生を作ったのです・・・・。郷土はこんなにも素晴しい!「出雲・石見狛犬見聞録」のはじめに著者の一人廣江正幸氏が述べておられる。今の私達は先人達の弛まぬ努力姿勢の歴史の上に成り立っていることを忘れてはならないだろう。